小中学校の児童・生徒1人1台パソコンについて元SEが考えた

2020年2月1日教育

文部科学省のGIGAスクール構想の実現について、元SEが考えてみた。

都道府県や県、市町村の学校環境整備担当者向けの話。

まずGIGAスクールとは、 Global and Innovation Gateway for All の頭文字をとったもの。要は、すべての子どもたちにICTを使った教育を推進するということ。

国が推進する方向性の柱は2本

1.小中学校内のネットワーク環境の整備

2.1人1台パソコン端末の整備

学校の校内ネットワーク環境をしっかりと整備して、児童・生徒1人1台端末に対応していこうねという流れ。

大きな話題になっているICT環境整備の流れに対して、都道府県や市町村の各自治体はどのように対応するのだろう。

大容量の通信に備えたネットワーク環境の整備

GIGAスクール構想の実現に向けて、国が計上した補正予算は2,318億円との報道があった。

自治体は、国で計上された予算から補助を受けて、学校のネットワーク環境を整備することとなる。

ネットワーク環境の整備をする、しないは各自治体の自由だが、時代の流れと補助金を逃す手はないと思われる。

1人1台端末に耐えられるネットワーク環境の整備

学校のネットワーク環境を整備する際には、大きな注意点がある。

今後、想定される通信量の増大に対応できるかどうかだ。

文科省ではGIGAスクール構想を推進するにあたり、クラウドの利活用(クラウド・バイ・デフォルト)も推進している。

クラウドを活用するということは、パソコン、タブレット端末にデータを残さないことになる。

端末がデータを参照する際に、必ずクラウドにアクセスするため通信量が増大することは必然である。

授業用教材のデータ化

全国的にネットワーク環境が整備されることで考えられる学校環境の変化は、教科書などの教材がデータ化されることだ。

全ての児童・生徒が1人1台端末を持つことで、初めて教科書のデータ化が可能になる。

子どもたちのランドセルが重たいということが、社会問題にもなっていたが、データ化することで問題も改善されることになる。

また、教科書の改訂などにも即座に対応できるようになる。

教科書がデータ化し、教材に動画や画像が多用されることも通信量の増大につながることとなる。

今までの常識は通用しない

ICT環境の変化はあまりに速く、誰にも想像することができない。

学校における1人1台端末に関しても、誰も体験したことのない新しいことである。

学校環境整備担当者は、「予算をとることが難しいから、ネットワーク環境整備を諦めるか。」という態度になってはいけない。

想像できない未来に対応するためには、国の指針に沿った環境整備を推進していく必要がある。

10gbps対応のLANケーブル、1gbps対応の無線AP、今は過剰かなと思われる環境整備も、数年後には標準になっているかもしれない。